判断を引き継ぐための記録と議事録の作り方
- K K
- 2025年12月19日
- 読了時間: 3分
判断を引き継ぐための記録と議事録の作り方
― 大規模修繕で「なぜそう決めたか」を残すために ―
大規模修繕では、工事そのものよりも 「判断の引き継ぎ」 でつまずくケースが少なくありません。
理事が交代したら、経緯が分からなくなった
「なぜこの工事をやったのか」説明できない
後から見て、判断の根拠が残っていない
こうした問題は、記録や議事録の書き方が原因で起きていることがほとんどです。
本記事では、判断を次の理事会・委員会へ引き継ぐための記録と議事録の考え方・作り方を整理します。

議事録は「決まったこと」だけでは足りない
多くの議事録は、
日時
出席者
決議事項
だけが簡潔にまとめられています。
これは形式としては正しいですが、判断を引き継ぐ記録としては不十分です。
なぜなら、
判断で最も重要なのは「なぜそう決めたか」
だからです。
判断を引き継ぐために残すべき3つの要素
① 判断の前提条件
まず残すべきは、その判断が行われた前提です。
どんな劣化・課題があったのか
どんな制約(予算・時期)があったのか
どんな選択肢が検討されたのか
これがないと、後から見た人は「なぜこの結論になったのか」理解できません。
② 検討した選択肢と、採用しなかった理由
判断を引き継ぐうえで特に重要なのが、
やったこと
やらなかったこと
です。
議事録にはぜひ、次のような内容を残してください。
今回は見送った工事項目
見送った理由(時期・優先度・費用など)
次回に再検討する条件
これがあるだけで、次の理事会は 同じ議論を繰り返さずに済みます。
③ 判断の軸(何を重視したか)
金額だけではなく、
安全性を優先したのか
将来の柔軟性を重視したのか
積立金を守る判断だったのか
何を基準に決めたのかを一言で残します。
これは、後からの評価や説明にとって非常に大きな意味を持ちます。
「良い議事録」と「判断が引き継がれる議事録」の違い
よくある議事録
〇〇工事を実施することを決議した。
判断が引き継がれる議事録
建物劣化状況と予算制約を踏まえ、今回は安全性確保を優先し〇〇工事を実施する。△△工事は優先度が低いため次回修繕時に再検討する。
👉 情報量は少し増えるだけで、価値は大きく変わります。
記録は「完璧」を目指さなくていい
議事録を書くとき、
きれいにまとめなければ
専門的に書かなければ
と考える必要はありません。
大切なのは、
当時の判断の空気と理由が伝わること
です。
箇条書きでも構いませんし、口語に近くても問題ありません。
セカンドオピニオンを入れた場合の記録の残し方
セカンドオピニオンを活用した場合は、
どの点を確認したのか
何が整理されたのか
判断はどう変わったのか(変わらなかったのか)
を簡潔に残しておくと、判断の正当性がより明確になります。
判断を引き継ぐための最低限テンプレート
議事録に、次の3行を加えるだけでも十分です。
【判断の前提】
【検討した選択肢と見送り理由】
【判断の軸】
これだけで、議事録は 「記録」から「資産」 に変わります。
まとめ
― 記録は、未来の理事会へのメッセージ ―
大規模修繕における記録や議事録は、
過去を残すためのものではなく
未来の判断を助けるためのもの
です。
判断を引き継ぐ記録が残っていれば、理事が交代しても、管理組合は同じ場所から再スタートできます。
それは結果として、後悔や不信感を減らす最大の対策にもなります。




コメント