共用部設備更新は「壊れたからやる」では足りない
- K K
- 2025年12月19日
- 読了時間: 4分
共用部設備更新は「壊れたからやる」では足りない
― 大規模修繕で判断を誤らないための考え方 ―
大規模修繕の検討が進む中で、必ず話題に上がるのが 共用部設備の更新 です。
給排水設備
照明・電気設備
換気設備
防災設備
エレベーター関連設備
いずれも建物の維持に欠かせない一方で、
「壊れていないのに更新が必要なのか」
「まだ使えそうだが、今回やるべきか」
「大規模修繕と一緒にやらないといけないのか」
と、判断に迷いやすいテーマでもあります。
本記事では、共用部設備更新を場当たり的に決めないための整理を行います。

共用部設備更新が難しい理由
共用部設備更新が難しい理由は、次のような特徴にあります。
劣化が目に見えにくい
不具合が出るまで問題にされにくい
専門的で説明が難しい
金額が比較的大きい
そのため、
「専門家が言うなら仕方ない」「壊れる前にやった方が安心」
という流れで判断されやすくなります。
しかし、安心感だけで決める判断は後悔につながりやすいのも事実です。
共用部設備更新の位置づけを整理する
まず押さえておきたいのは、共用部設備更新は多くの場合、
建物の構造安全性
防水性能
といった大規模修繕の必須工事とは性質が異なるという点です。
共用部設備更新は、
機能の維持
故障リスクの低減
安全性の確保
を目的とした設備更新工事です。
そのため、
「今やらなければならない理由」が明確かどうか
を整理する必要があります。
判断を誤りやすい典型パターン
パターン① 「築年数」を理由に一括更新する
築○年だからそろそろ限界
一般的にこの時期だから
築年数は参考にはなりますが、更新の決定理由にはなりません。
パターン② 大規模修繕と混同してしまう
足場がある
まとめてやった方が効率的
効率性と必要性は別です。
パターン③ 故障リスクを過大評価してしまう
「壊れたら大変だから」
「止まると困るから」
本当に今、全面更新が必要なのか、段階的な対応はできないかを整理する必要があります。
共用部設備更新を判断するための軸
共用部設備更新を検討する際は、次の点を整理することが重要です。
① 現在の状態はどうか
不具合の頻度
応急対応で維持できているか
安全上の問題はないか
② 更新以外の選択肢はあるか
部分更新
機器交換
修理・延命
「更新しかない」という前提を一度疑ってみることが大切です。
③ 今回やらないと困る理由は何か
法令対応
安全確保
代替手段がない
「今回やる理由」を具体的に説明できるかが重要です。
④ 長期修繕計画との整合
計画上の位置づけ
次回修繕との関係
積立金への影響
大規模修繕と切り分けて考える
共用部設備更新は、大規模修繕と同時期に行われることが多いため、
「大規模修繕の一部」と誤解されやすい工事項目
です。
しかし実際には、
同時にやることもある
別で判断すべき場合もある
という 切り分けが必要なテーマ です。
この切り分けができないと、
工事内容が膨らむ
判断理由が曖昧になる
合意形成が難しくなる
といった問題が起こりやすくなります。
合意形成で注意すべきポイント
共用部設備更新は、
専門的で分かりにくい
住民の関心が分散しやすい
ため、説明不足のまま決まりやすいという特徴があります。
だからこそ、
なぜ今やるのか
なぜ今回はやらないのか
どちらの場合でも説明できることが重要です。
セカンドオピニオンが有効な場面
更新か延命かで意見が割れている
提案内容が妥当か判断しきれない
長期修繕計画との関係が整理できない
こうした場合、第三者の立場で整理するセカンドオピニオンが有効なことがあります。
まとめ
共用部設備更新は、
「壊れたらやる」でも「ついでにやる」でもない工事
です。
今やる理由は何か
他の選択肢はないか
将来の判断を縛らないか
これらを整理した上で判断することで、更新しても、見送っても後悔しにくい決定になります。
共用部設備更新は、大規模修繕における**典型的な「判断力が問われるテーマ」**の一つです。



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