長期修繕計画と大規模修繕を混同すると起きる失敗
- K K
- 2025年12月19日
- 読了時間: 3分
長期修繕計画と大規模修繕を混同すると起きる失敗
― 「計画」と「判断」を分けて考えるために ―
大規模修繕を検討する中で、よく聞かれる言葉があります。
「長期修繕計画にそう書いてあるから」
「計画ではこのタイミングになっている」
「計画通り進めれば安心だと思っていた」
一方で、修繕後に、
「本当に必要な工事だったのか」
「なぜこの内容になったのか説明しにくい」
という声が出ることも少なくありません。
その原因の多くは、長期修繕計画と大規模修繕を混同してしまうことにあります。

長期修繕計画と大規模修繕は役割が違う
まず整理しておきたいのは、この2つは 似ているようで役割がまったく違う という点です。
長期修繕計画の役割
将来の修繕を見通す
積立金との関係を整理する
判断の前提条件を示す
👉 将来を考えるための計画
大規模修繕の役割
今回、何をやるかを決める
工事内容・範囲を判断する
合意形成を行う
👉 今の判断を行うプロジェクト
計画と判断は、本来切り分けて考えるべきものです。
混同すると起きやすい失敗①
「計画通りだから」という理由だけで工事を決めてしまう
長期修繕計画に記載されている内容を、
建物の現状確認を十分に行わず
優先順位を整理しないまま
そのまま大規模修繕に落とし込んでしまうケースがあります。
しかし、計画はあくまで作成時点の想定に基づくものです。
実際の劣化状況とズレていれば、計画通りでも適切とは限りません。
混同すると起きやすい失敗②
工事内容を見直すことが「計画違反」のように感じてしまう
計画にあるから減らせない
計画にないから追加できない
このように考えてしまうと、柔軟な判断ができなくなります。
本来、
計画を見直すこと=悪いこと
ではありません。
むしろ、現実に合わせて計画を調整することこそ、健全な運用です。
混同すると起きやすい失敗③
積立金の議論が目的化してしまう
長期修繕計画は積立金とセットで語られることが多いため、
予算に収まるか
積立金が足りるか
という議論が先行しがちです。
その結果、
本当に必要な工事か
今回やるべき工事か
という本質的な判断が後回しになることがあります。
混同すると起きやすい失敗④
非常時の判断が歪む
漏水や火害など、突発的な事象が起きたとき、
計画にないから今回は別
計画にあるからまとめてやる
といった判断が安易に行われてしまうことがあります。
非常時こそ、
計画をどう使うかを冷静に整理する必要があります。
正しい考え方:計画は「判断の材料」、結論ではない
長期修繕計画は、
守るべきルール
結論そのもの
ではありません。
役割はあくまで、
今回の判断が、将来にどう影響するかを考えるための材料
です。
計画と照らしてどうか
今回の判断で歪みは生じないか
この視点で使うことが重要です。
大規模修繕では「計画を使いながら決める」
健全な大規模修繕では、
建物の現状を把握する
今回やるべき工事を整理する
その判断を長期修繕計画と照らす
必要であれば計画を見直す
という順番で進みます。
計画に合わせて判断するのではなく、判断に合わせて計画を整える。
この順番が重要です。
まとめ
長期修繕計画と大規模修繕を混同すると、
判断が硬直する
説明がしにくくなる
後悔につながりやすい
という失敗が起こりやすくなります。
大切なのは、
計画と判断の役割を分けて考えること
長期修繕計画は、大規模修繕を縛るものではなく、支えるための道具です。
この位置づけを正しく理解することで、管理組合は納得感のある判断を行いやすくなります。



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