「間違っていないのに失敗する修繕」という罠。理事会が気づきにくい“構造の問題”とは
- K K
- 2025年12月26日
- 読了時間: 3分
マンションやビルの大規模修繕。理事会は会議を開き、説明を受け、見積もりを確認し、住民説明もして、手順通りに進めていく――。
それでも“失敗に近づく修繕”が存在する。
今日は、この少し怖いけれど、大切な現実についてお話します。

■ 「ちゃんとやっているのに、なぜか不安が残る修繕」があります
多くの理事会は、とても真面目です。
説明はしっかり聞く
書類も読み込む
住民のために一生懸命考える
それでも、現場ではこんなことが起きています。
工事が始まってから出てくる 追加費用
「なぜこの仕様なのか?」と後から説明に困る決定
完成しても どこかに残るモヤモヤ
数年後に「これで本当に良かったのか?」という不安
これは、理事会が怠けたからでしょうか?能力が低かったからでしょうか?
答えは NO です。
むしろ、真面目で一生懸命な理事会ほど、この罠に近づいてしまうことがあるのです。
■ 失敗の原因は「人」ではなく「構造」にあります
ここが今日いちばん大事なポイントです。
多くの修繕トラブルは、理事会の能力不足でも、業者だけの問題でもありません。
“修繕という世界そのものが、理事会に不利になりやすい構造”になっているからです。
● 情報量が圧倒的に偏っている
専門知識は 業界側が圧倒的に多い
理事会は 素人+短期任期
住民の声は 「早く進めてほしい」
この時点で、スタートラインが平等ではありません。
● 「親切」に見える提案ほど注意が必要
理事会が弱い立場のときに現れるのが、
無料で診断します
無料で設計します
無料で計画立てします
という“救いの手”。
もちろん、すべてが悪いわけではありません。
しかし――
無料=誰が利益を得るのか?
ここを考えなければいけません。
多くの場合、「仕事を取る側にとって都合の良い進め方」になる可能性があります。
結果として、
仕様が“住民の最適”ではなく“供給側の最適”
表面上はスムーズ
でも理事会は 判断しているつもりで、実は流されている
ここに、「間違っていないのに失敗に近づく修繕」 の正体があります。
■ 典型的に起きる現象
この構造が原因になると、実際に現場ではこうなります。
追加費用が「仕方ないもの」として積み上がる
仕様の違いが理解されないまま承認される
後から住民に「なぜこれにしたのですか?」と聞かれて困る
完成しても “説明責任が果たせない感覚” が残る
理事会は手順を守りました。誰も手を抜いていません。
それでも――“構造に巻き込まれただけ”で結果が変わってしまう。
これが現実です。
■ 理事会が持つべき「武器」
では、どうすれば良いのか。
必要なのは、派手な技術でも、高度な専門知識でもありません。
理事会が持つべきものは、
利害関係から離れた視点
住民の立場で判断する仕組み
「なぜこれを選んだのか?」を説明できる根拠
この3つです。
■ 「説明できる修繕」は、失敗しにくい
理事会が、
自分たちで考えて選べた
住民に胸を張って説明できる
将来にも責任が持てる
そう感じられる修繕は、それだけで成功に近づきます。
逆に、説明できない決断は、時間がたつほど理事会を苦しくさせます。
■ 結論:「不安」は能力不足ではなく“正常な感覚”
もし今、あなたの理事会が
「このまま進めていいのか…?」少しでもそう感じているなら、
それは不安ではなく、“慎重で正しい感覚” です。
修繕の失敗は、人の失敗ではなく、構造の問題であることが多い。
だからこそ、理事会には「武器」が必要なんです。
■ 最後に
今日は、
「正しく進めているのに失敗に近づく修繕」
というお話でした。
理事会の判断が、住民の未来を守る納得できる選択になりますように。


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